ロングパスタを茹でる

アル・デンテAl Dente)という言葉が今や一般的となっていることを考えると、パスタ文化は日本に深く浸透しているのがわかる。
アル・デンテという言葉を知らない人のために説明しておくと、「歯応えがある」という意味で、パスタや米などの芯が少し残って一番美味しく食べられる状態のことである。
特に人間が美味しいと感じる要素を考えると「味」や「温度」「匂い」「見た目」のほかにも「食感」も重要な要素のひとつであるのは言わずと知れているはずで、
パスタの美味しさの要素からこのアル・デンテを外すことは出来ない。
せっかく美味しいソースを作り上げたとしても、パスタの茹で上げがうまくいかないとすべてが台無しなのである。
では、パスタはアル・デンテに茹で上げるのが正しいかというと必ずしもそうではない。
何故ならば、茹で上げたパスタはほとんどの場合がフライパンで作られたソースに合わせて、さらに余熱で火が通るからである。
重要なのは完成したパスタをいざ口に運ぶときにアル・デンテになっているか、であるからだ。
では、パスタをいざ茹でてみることにする。
特にスパゲッティの類はちょっとした茹で加減の差が露骨にわかってしまう。
失敗を防ぐには自分の好みの茹で加減を知っていること、そして先手必勝である。

1.湯を沸かす


まずは大き目のお鍋に水を入れて、湯を沸かすことに始まる。
ここで気になるお湯の量だが最低でもパスタの量の10倍以上は必要だと言われているらしい。
つまり、パスタ100gを茹でる場合は水1kg(1リットル)以上は必要だということだ。
しかし、これでも私は少な過ぎる気がする。ちなみに私はいつもどれくらいの水を使っているかというと約4~5リットルほどである。

2.塩を入れる


湯が沸騰したら、塩を入れる。
問題は塩の量だが、お湯の量1リットルに対して10gがベストである。
これがどれくらいの濃度かというと濃度約1%(正確には1%ではない)で、海水の平均濃度が約3%なのでそれほどまでも濃くはないのだが、けっこう塩辛いお湯で茹でることになる。

3.パスタを入れる


塩を入れたら、主役であるパスタの投入である。
パスタの量は1人前で80~100gが目安。
放射状に広がるように入れるのが理想的だが、まず両手を使って雑巾を絞るように軽くスパゲッティの束をねじってやる。
そして、そのまま鍋の上で離すとキレイに広がる。しかも何だか通っぽくってカッコいい。
ただし力を入れすぎて折ってしまわないようにすること。とくに細めのパスタは折れやすいので、その辺は臨機応変に願いたい。

4.常にかき混ぜる必要はない


パスタを入れたら、箸や木ベラなどを使って鍋につかないように底の方からすくうように混ぜる程度でよい。
あとは常に沸騰状態を保ち、泡の勢いでパスタがまるで踊るようにお湯の中を循環していれば良い。
たまにパスタとパスタ、または鍋の底や側面などにくっつかないように軽く混ぜることも必要かもしれないが、
もともとパスタには細かい傷がついており、これがソースとの絡みやすくしているので、あまり激しくかき回したりするとパスタの表面がツルツルになってソースとの絡みが悪くなってしまう。

5.二分前に1本食う


茹で時間だがパスタのパッケージに記載されている茹で時間はあきらかに長いです。
長いっていうか、長すぎる。
茹で時間の目安はパッケージに書かれている時間の1分半~2分前。パッケージに書かれている時間は「調理時間」だと考えて、茹で上げてからソースにあえる時間や盛り付けるまでの時間だと思えば良い。
実際に1分半~2分前ぐらいに実際に口にして茹で具合をチェックしましょう。

火傷に注意しながら、ざるにあけてお湯をきる。
お湯は完全にきってしまわないで、少しパスタに絡んでいるほうが良い。
完全に水分をきってしまうとパスタにパサパサ感が生まれ、逆にソースとの絡みも悪くなるからだ。

あとはすぐにソースと絡めること。
このタイミングでソースが完成しているのがベストだが、これが難しい。
パスタの茹で上げとソースの完成、必ずソースが先に出来上がっていることが成功への近道である。

  • アル・デンテに茹で上げるのではない。皿に盛りつけたときにアル・デンテにする。
  • 茹で不足は何とかなるが、茹で過ぎは救えない。
  • 茹で汁は捨てる前にカップなどで少し取っておくと便利。

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