オリーブオイル

オリーブオイル

最近では、スーパーに行くと数多くのオリーブオイルを見かけるようになった。
近頃のイタリア料理ブームなのか、それともオリーブオイルが体に良いってどっかのテレビが放映したからかどうかは分からない。
しかし、パスタ好きの私にしてみれば嬉しい限りである。
そもそもオリーブオイルとは何だろう、どういったものだろうかと調査をしてみる価値はある。

オリーブオイルは、モクセイ科のオリーブの木の実を搾り取った天然の果汁である。
私の家の近所、駅の近くにオリーブの木が植えられている、って気づいたのは実は最近のことだったりする。
街中を歩いているとたまに小さなオリーブの木が植えられており、季節によっては黒々とした実をみのらせている木もあったりする。
まあ、そんな街中に生えているオリーブからオイルを採る人はいないと思うし、まず旨くないと思う。
それはさておき、オリーブオイルは植物油の女王って言われているのを知っているだろうか?
多くの植物油は油脂が種子の中に包まれているために、油を取るために化学的な処理が必要なのだ。
しかし、オリーブの実は、果実そのものに油脂があるので、溶剤などを使用せずにオイルを搾り出せる、いわばオリーブの天然ジュースだ。
本当に高級なオリーブオイルは、オリーブの果実を山積みにして、その重みで自然と搾り出されたオイルだというくらいだ。

さて、オリーブオイルをいざ手にすると、その瓶のラベルに「ピュア」だの「エキストラバージン」だの書いてる。
たぶん日本に出まわってるオリーブオイルの多くは「ピュアオイル」と「エキストラバージンオイル」が圧倒的に多いと思う。
同じブランドでも値段からみて「エキストラバージンオイル」の方が上質だろうってのはなんとなく想像がつくし、いかにも高級そうな名前だ。
では、オリーブオイルをちょっと分類してみることにする。ちなみに下に記した表は国際オリーブ協会という団体によって定められた分類だ。
(モノがあれば、なんでも協会があるものだ)

ヴァージン・オリーブオイル
化学処理を一切していない、搾ったままのオリーブオイル。いわゆる一番搾りで、酸価が4%以下のもの。酸価が1%以下のものをエキストラ・ヴァージンといい、最高級とされる。
精製オリーブオイル
酸価が4%以上のヴァージン・オリーブオイルから、酸度や感覚刺激を精製処理で取り除いた(リファインドした)もの。
ピュア・オリーブオイル
ヴァージン・オリーブオイルと精製したオリーブオイルをブレンドしたもの。酸価を抑え、風味を持たせている。
(国際オリーブ協会によるオリーブオイルの分類)

酸価とはオリーブオイル中に含まれる脂肪酸(リノレン酸)が遊離している度合いのことで、酸価度数が高いほど酸価が進み質が下がる。
一般的にはヴァージンオイル、とくにエキストラ・ヴァージンはその風味を味わえるように加熱せずにドレッシングなど、一方ピュアオイルはクセが少ないので揚げ物や炒め物に使ったほうが良いと言われているが、とくに気にする必要もない。
エキストラ・ヴァージンで炒め物をしたって一向に構わない。ただ、ドレッシングなど加熱せずに使う場合はエキストラ・ヴァージンをお勧めはするが。

オリーブオイルの歴史

オリーブの樹は、今から8000年ほど前、イラン高原、イラク、シリア、パレスチナ地方などで自生していたといわれている。
それが次第に広がり、7000年ほど前には地中海にも生育するようになった。
地中海周辺の温暖な気候、太陽、乾燥気味な空気がオリーブには最適であったのだ。
人間がオリーブを栽培するようになったのは、今から6000年前頃。ギリシャやローマ、スペイン周辺の国のどこかが最初だと言われているが明確には分かっていない。
その後、交易や民族移動、他国の支配によりイベリア半島や北アフリカ、フランスへと栽培方法やその利用法などが広がっていったようである。
その栄養価、味、美しさからオリーブは古代の人々の間で尊重されるものとなっていた。
紀元前3000~4000年頃のエジプトでは、王の死後、墓にオリーブの実が供えられたり、枝を装飾品として使用された。
ギリシャでは古代オリンピックの優勝者にオリーブの苗木が贈られていたのは有名な話である。
では、いつ頃からオリーブからオイルを搾り取って食用となったのか?
残念ながらはっきりとした時期は判明していない。人の手で栽培されるようになったのとほぼ同時期であろうというのが、おおよその推測である。
古代では、バジルやニンニクを漬けたオリーブオイルを聖油として、神の儀式に使用されていた。
時代が移り、オリーブオイルは傷薬、肌の美容液、マッサージ用オイル、ランプ油などあらゆる用途に利用され始めた。
古代ギリシャでは討議会や宴の時に、実と共に出されることもあったようである。
その後、何世紀も過ぎ、現在のように地中海周辺、ヨーロッパ各地でオリーブオイルが食生活に欠かせないものになったのである。

日本のオリーブオイル

オリーブが日本に初めて伝わったのは、安土桃山時代のことである。当時、宣教師としてポルトガルから来日していた人々が持参してきたオリーブオイルが最初であると言われている。
当時の日本人はそのオイルをホルトの油(ポルトガルの油)と呼んだとか。
幕末にはフランスから、明治に入ってからはイタリアからオリーブの苗木が輸入されたが、それらは根付くことはなかった。
明治41年、当時の農商務省がアメリカから苗木を輸入し、香川、三重、鹿児島の三県に植えた。
そのうち香川県・小豆島で507本が見事に成長を遂げ、3年後には約7kgのオリーブの実が収穫された。
こうして、小豆島は日本オリーブ発祥の地と言われるようになったのである。

オリーブオイルの効能

体に良いと言われるオリーブオイルだが、どんな効果があるんだろうか。

胃にやさしい
オリーブオイルは油脂の中でも胃に負担をかけないということが、他の食用油との比較研究によって明らかにされている。また、胃炎、十二指腸潰瘍の改善にも効果があると言われている。朝の空腹時にスプーン1~2杯のオリーブオイルを摂取すれば、慢性の便秘解消にも役立つと言われている。
子供の成長に
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は子供の骨格の発育、ミネラル化(骨格組織へのカルシウム沈着)を促すと言われている。乳児の栄養に必要なリノール酸とリノレン酸のバランスが悪いと脳組織の発達に悪影響があるといわれるが、オリーブオイルに含まれる両脂肪酸の構成比は乳児の理想的な栄養食物である母乳に似ているため、離乳食にも利用されている。
消化吸収を助ける
オリーブオイルは胆嚢と胆管の運動を刺激し、食物栄養の消化・吸収を助ける胆汁に似ており、消化・吸収を助け胆石を予防する効果がある。
老化を防止する
オリーブオイルはリノール酸、リレノン酸、抗酸化物質がバランスよく含まれている。そのため老人性痴呆症や皮膚の老化予防になる。また、オレイン酸は骨からのカルシウム喪失を抑制するための骨粗鬆症の予防にもなる。
動脈硬化の予防
オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は、悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げて動脈硬化を予防する。ヴァージン・オリーブオイルの中にはビタミンE、ポリフェノールなどの抗酸化物質が動脈硬化の予防になる。
糖尿病を改善
膵臓から分泌されるインスリンの作用が不足し、脳梗塞、心筋梗塞などの合併症の要因となる糖尿病だが、オリーブオイルに含まれるオレイン酸が多く含まれる脂肪分を摂取したほうがインスリン作用に効果的であると、近年の研究報告にある。
美肌を作る
オリーブオイルに含まれるビタミンA、Eが肌の血行促進細胞の老化抑制の働きをし、美容に最適。オリーブオイルには、保湿作用抗炎症作用があり、古代ギリシャから現代に至るまで肌に塗ったり、やけどに縫ったりする。

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